遠征苦労話

|  航空祭の楽しみ  |
 これが「航空祭の楽しみ」のカテゴリーに入るのかは、旅をする人の気持ち次第でしょう。
 ブルーインパルスの2005年度ツアーは、分屯基地の特別な開庁記念行事がいくつか日程に組み込まれ、また土日二日別々の場所で展示飛行を行うことによって成立する、忙しいものでした。
 7月30日土曜日、宮城県東松島市にある松島基地近く矢本駅前で行われた「東松島夏まつり」と、翌日日曜日に開催された「根室基地開庁50周年記念行事」の組み合わせは、2005ツアーで最大の難関ともいえる旅路でした。結果、両日とも天候不良により展示飛行がキャンセルされましたが、今後土日でどのような組み合わせの日程が組まれても行ってみせる、と自信が持てた行程でした。
 毎年ツアースケジュールが発表されるのは3月末。7月までには十分な時間がありますが、主催者に問い合わせても展示飛行の時間など詳細がはっきりしてくるのは1、2週間前です。それでも午前中に展示飛行が行われる可能性を考えて、早い時期から、朝には目的地に到着する旅程を組みます。
 東松島夏まつりへの行きは、金曜の夜中から、制作委員のひとりであるEAGLE305と車を交代で運転し、矢本へと向かいました。東京からですと、都内から夜11時頃に出発する夜行バスで仙台に出て、JR仙石線で矢本へ出るという手もあるでしょう。
 東松島夏まつりの展示飛行の時間が過ぎると(キャンセルが決まると)、電車で仙台に向かい、仙台駅から高速バスで仙台空港へ向かいました。フライトは午後4時頃。もう少し遅いフライトでも構わないのですが、札幌で余裕をもってお風呂に入りたかったために、この時間のフライトにしました。EAGLE305から、ブルーインパルスが根室へリモートショウを行う展開先の千歳基地へ飛び立った、と連絡があったのは、電車で仙台に着いた頃でした。ブルーインパルスと同じような空路で新千歳空港に向かうのは、大変気持ちの良いものでした。
 朝から何も食べていなかったので、新千歳空港のターミナルビルで食事を済ませ、電車で札幌駅に向かい、駅から歩けるスーパー銭湯でお風呂に入りました。大きなカメラリュックが、なんとか脱衣場のロッカーに収まってくれました。お風呂から上がって、大分暗く涼しくなった大通り公園を、何軒もの大型ビアガーデンを通り抜けるように歩いていくと、テレビ塔があります。その斜め向かいにバスターミナルがあり、そこから根室行きの深夜バスに乗りました。
 深夜バスは思いのほか快適で、散髪屋さんの椅子のように一人一人が分かれたシートで、十分にリクライニングもできるものでした。早朝根室駅に着くと、バスターミナルで洗顔をして、せっかくここまで来たのだからと、納沙布岬に行くことにしました。納沙布岬まで約25km、帰りは根室分屯基地までの戻り。10,000円強かかったように記憶していますが、地元の運転手さんによるガイド料と思えば悪くないと思い、タクシーで納沙布岬に行きました。霧にが立ち込めたなかに、不気味な警笛が鳴り響きます。霧のすぐ向こうには、北方領土が見えるはずでした。
 根室分屯基地へ着いても、霧が晴れることはありませんでした。10時にブルーインパルスのキャンセルがアナウンスされたのを聞き届け、分屯基地を後にしました。帰りに手配してある釧路羽田便が心配になったため、早めに釧路空港へ行きたかったのです。
 一番近い東根室駅へ歩いて向かっていると、道に迷ってしまいました。しばらくして通りかかったパトカーに道を聞いた直後、タクシーが通りました。東根室駅へ行きたいと告げると、電車の時間を聞かれ、その快速電車は東根室駅には停まらないと言われました。タクシーに乗って幸いでした。
 根室駅からその快速電車で釧路駅に行き、バスで釧路空港へ出ると、案の定、霧が出ていたのですが、根室ほどにはひどくありませんでした。
 予約した便より二つほど早い便に乗ることができました。丁度幕張メッセの上空を通って羽田へのアプローチに入った頃には、東京は素晴らしい天気でした。改めて天候の難しさを知った瞬間でもありました。結局ブルーインパルスは、2005年、この土日2回と、翌週の当別分屯基地記念行事を合わせた3回のみがキャンセルとなり、それ以外のすべてのイベントで展示飛行を実施しました。真夏の7月末から8月頭に掛けては、もっとも展示飛行が難しい季節なのかもしれません。
 さて、こう書いてしまうとあっさり行けてしまったような行程ですが、これが可能となったキーポイントはどこにあったでしょうか?その答えは「夜行バス」と「スーパー銭湯」です。

<Imachan>