ブルーを支える人達(その2)

|  ブルーインパルス雑学  |
 ブルーインパルスの展示飛行に向け、受け入れの各基地では、綿密な準備や調整が行われます。
 ブルーインパルスは、航空祭の前々日くらいに各基地へ到着します。まずは、7機分(1~6番機と予備機)の駐機場所や、機体を収容/整備する格納庫のスペースが必要です。どの基地も通常時の配備機種と機体数に合わせて施設が構成されていますから余剰スペースはありません。ブルーインパルス以外に地上展示用の外来機もあるので、基地側の機体を移動する等の調整が行われ、概ね基地中央に近い格納庫が割り当てられます。航空祭当日に機体が運び出された後の格納庫は、観客用の屋根付き休憩スペースになっていますね。T-4が収まったら、次はパイロットや整備員のためのスペース。パイロットと整備小隊(ドルフィンキーパー)を合わせると約40名の第11飛行隊員が同行しますから、控室やブリーフィング用の部屋が官舎内に準備されます。
 機体整備は、整備小隊によっていつも通りの完璧な整備状態が保たれます。しかし、全ての整備機材を移動用のC-1輸送機に載せて持っていけませんので、機材や部品補充に対する基地側の協力を得ながら作業が行われています。一例を挙げると、T-4のエンジン始動には外部から電気を供給する電源車が必要です。電源車を必要とする戦闘機(F-1やF-4Eなど)が配備されていない基地(千歳など)では、必然的に常備する電源車数が少なく、車両のやりくりが大変になります。ウォークダウンに続くエンジン始動時に、6機分の電源車が確保できない場合は、数回に分けてエンジン始動が行われます。エピソードとしては、2004年の海上自衛隊・鹿屋航空基地(鹿児島)航空祭では、航空自衛隊の基地から電源車が運び込まれました。
 さらに、調整は地上だけではありません。ブルーインパルスは基地周辺の空域を使用するので、民間空港と滑走路が併設・共用されている基地では、事前に民間機の離発着時間の調整が行われます。また、近くに航路がある基地でも、展示飛行の時間中に民間機が空域に侵入しないように、空域をロックする調整が進められています。
 ブルーインパルスの展示飛行の裏側で、年に一度の航空祭を円滑に運営するために、基地側でも多くの関係者が尽力されているのです。
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